MENU

社内SE・SES・SIerで技術力は変わる?現役SEが実体験から解説|インフラエンジニアの働き方 第5回

SEに興味あるけど、以下のような記事をよく見かけるから不安

「社内SEは技術力が身につかない」

「SESは下請けばかりで手順書作業ばかりでスキルが身につかない」

「SIerはExcelや資料作成ばかり」

これからシステムエンジニアを目指そうとしているのに、

「結局、どこに行ってもダメなの?」

と思ってしまいますよね。

私自身は約8年間SESとして複数の現場を経験し、現在は社内インフラエンジニアとして働いています。

SIerに所属した経験はありませんが、これまでの現場ではSIerのエンジニアと一緒に仕事をする機会もありました。

実際に働いてきて感じるのは、「社内SEだから技術力が身につかない」「SESだからスキルが身につかない」と単純には決められないということです。

結局のところ大切なのは、

「どこで働くか」よりも「そこで何を経験できるか」。

同じ社内SEでも担当する仕事は会社によって違いますし、SESも配属される現場によって経験できる技術は大きく変わります。

この記事では、SESと社内SEの両方を経験してきた立場から、それぞれで身につきやすいスキルや、技術力について感じていることを紹介します。

目次

1.なぜ「技術力が身につかない」と言われるのか

社内SEが技術力が低いと言われる理由

「社内SEは技術力が身につかない」と言われることがありますが、これは会社によって仕事内容が大きく違うことが理由の一つだと思います。

同じ社内SEでも、例えばこんな働き方があります。

社内SEのタイプ主な仕事内容身につきやすいスキル
ヘルプデスク中心PC・アカウント・問い合わせ対応PC、SaaS、ユーザー対応
インフラ運用中心サーバ・NWの監視、運用、障害対応運用、監視、トラブル対応
オンプレ中心サーバ・NW・ストレージなどハードウェア、サーバ、NW
クラウド中心AWS・Azureなどの構築・運用クラウド、IAM、セキュリティ
インフラ全般オンプレ・クラウド・NW・監視などインフラ全体の幅広い知識
IT企画・管理中心システム導入、ベンダー調整、契約管理IT企画、調整、プロジェクト管理

実際の求人を見ても、ヘルプデスク・インフラ運用を担当する社内SEもいれば、ネットワーク・サーバ・クラウドを横断し、上流から運用改善まで担当する社内SEもいます。

こうして見ると、「社内SE」という肩書きだけでは技術力が身につくかどうかは判断できません。

例えばヘルプデスク中心の仕事であれば、PCやSaaS、ユーザー対応などには詳しくなりますが、サーバ構築やネットワーク設計といったインフラ基盤の技術に触れる機会は少なくなります。

一方で、サーバ・ネットワーク・クラウドの構築から運用まで担当できる環境なら、社内SEでも技術的な経験をかなり積むことができます。

私自身も社内SEとして働いていますが、クラウド・オンプレ・ネットワーク・サーバ構築・監視・障害対応など、担当する範囲はかなり広いです。

なので、「社内SEだから技術力が低い」のではなく、「その会社の社内SEが何を担当しているのか」が重要だと感じています。

SES・SIerでよく言われること

SESについても同じです。

「SESはスキルが身につかない」と言われることがありますが、これも配属される現場や担当工程によってかなり変わります。

例えば、手順書に沿った定型作業や監視・オペレーションだけを長期間担当していると、設計や構築を自分で考えて経験する機会は少なくなります。

一方で、サーバやネットワークの設計・構築、移行、障害調査などに関われる現場なら、技術的な経験を積むことができます。

私が以前働いていた会社にも、能力の高い同僚がいました。

ただ、配属先ではオペレーター的な業務が中心で、

「周りに取り残されている気がする」

と話しており、最終的には転職していきました。

この経験からも、本人の能力だけではなく「どんな仕事を任せてもらえるか」はかなり重要だと感じています。

SIerについては、私はSIerに所属した経験がないため、「技術力が身につく・身につかない」と断定することはできません。

ただ、これまでSIerの方と一緒に仕事をした経験では、設計やプロジェクト管理、顧客・ベンダーとの調整など、実際に手を動かす技術とは別の能力が求められる場面も多くありました。上流工程や運用も含めて異なる技術・能力が必要になるとおもいます。

だから、SIerについても「Excelや資料作成ばかりだから技術力がない」と一括りにするのは違うと思います。

そして、これから会社を選ぶ人に一番伝えたいのは、

会社の名前や「SES・社内SE・SIer」という肩書きだけで判断しないこと。

求人を見るときには、

「実際に何を担当するのか」「設計・構築まで経験できるのか」「将来的に担当範囲を広げられるのか」

まで確認してみてください。

最初は何を見ればいいのか分からないと思います。このブログでもインフラの実務について紹介しているので、少しずつ知識をつけながら、自分が伸ばしたい技術を経験できる環境なのかを考えられるようになれば十分です。

2.SESで身についたスキル

担当分野を深く経験できた

SESでは、インフラ全体を一人で担当するというより、チームの一員として特定の分野を担当することが多いです。

私が経験した現場でも、

・ネットワークチーム
・サーバ・ハードウェアチーム
・ストレージチーム
・運用チーム

など、それぞれ役割が分かれていました。

その中で自分が所属するチームの業務を担当するため、任された分野については深く経験できるのがSESの特徴だと思います。

例えばストレージを担当する現場であれば、ストレージの設定や構築、確認作業などに繰り返し触れることになります。

社内SEのようにインフラ全体を幅広く見るのとは違い、「狭く深く」技術を身につけやすいのは、私がSESで働いて感じたメリットの一つです。

ただし、SESだから必ず技術力が身につくわけではありません。

前の章でも紹介したように、担当する業務が定型作業だけなのか、構築や設計まで経験できるのかによって、身につくスキルは大きく変わります。

現場によって身につくスキルは変わる

SESでは、営業担当と相談しながら、ある程度は次の現場について希望を伝えることができます。

例えば、

・どんな業務を担当するのか
・どんな技術を扱うのか
・勤務地や通勤時間
・リモートワークができるか
・これまでの経験を活かせるか

などです。

もちろん、必ず希望通りの現場に入れるわけではありません。

そして私がSES時代によく感じていたのが、現場が変わるたびに「また0からスタートか……」という感覚になることでした。

前の現場で覚えたこととは違う技術を求められることも多く、新しい現場に入るたびに分からないことが出てきます。

私自身も最初のうちは、

「せっかく前の現場で覚えたのに、また新しいことを覚えるのか」

と感じることがありました。

でも、いろいろな現場を経験していくと、少しずつ知識がつながってきます。

サーバだけを見ていたときには分からなかったことが、ネットワークやストレージなど別の技術に触れることで、

「あのときやっていたのは、こういうことだったのか」

と理解できるようになることがあります。

毎回本当に0からスタートしているわけではなく、それまでの経験の上に新しい知識が積み重なっていくイメージです。

私自身、SESでいろいろな現場を経験したことは、現在インフラ全体を見るうえでも役立っていると感じています。

3.社内SEで身についたスキル

インフラ全体を幅広く経験できる

社内SEの仕事内容でも紹介しましたが、私が現在働いている会社では、とにかく担当する範囲が広いです(笑)

例えば、

・クラウド環境の構築・運用
・オンプレミス環境の構築・運用
・データセンターの機器管理
・サーバ・ネットワーク・FWの設定
・監視・保守・障害対応
・システムの設計・構築・移行
・PCキッティング
・ヘルプデスク
・AI・SaaSツールの導入・運用

など、インフラに関わる仕事を幅広く担当しています。

SESから社内SEへ転職した当初は、正直なところ**「これまでインフラをやってきたし、そこまで苦労しないだろう」**と思っていました。

ところが、実際は逆でした。

SES時代に経験していなかったネットワーク構築も担当するため、FWやスイッチなど、分からないことが次々と出てきました。

感覚としては、SES時代より100倍大変でした(笑)

ただ、その分学べることも多かったです。

自分で調べて、設計して、構築して、その後の運用まで担当する。

一連の流れを自分で経験するので、一度身につけた知識が実務と結びついて残りやすいと感じています。

SESでは担当分野を深く経験できましたが、社内SEになってからは、それまで点だった知識がつながってインフラ全体を見る力が身についたと感じています。

技術以外に求められることも多い

社内SEになって感じたもう一つの違いが、技術だけできればいいわけではないということです。

例えば開発チームから、

「こういうことをやりたいんだけど、インフラ側で実現できる?」

と相談されることがあります。

相手がインフラに詳しいとは限らないので、要望を聞いて、

「それなら、この構成にすれば実現できそう」

と具体的な仕組みに落とし込む必要があります。

ほかにも私の場合は、ISMSに関する業務や、各種サービスの契約・管理、ベンダーとの調整なども担当しています。

ここまで幅広く担当する社内SEは会社によって違うと思いますが、実際に働いてみて強く感じたのは、

「SESだから」「SIerだから」「社内SEだから」という肩書きだけで、技術力を判断するのは難しい

ということです。

社内SEでも、サーバ・ネットワーク・クラウドの設計構築まで担当する仕事はありますし、反対にヘルプデスク中心の仕事もあります。

働き方についても同じです。

私自身は現在、完全在宅で働いているため、SES時代と比べると通勤の負担がなくなり、かなり働きやすくなりました。

また、社内SEでも高い専門性や責任を求められるポジションでは、高年収の求人やオファーもあります。

だからこそ、転職するときは「社内SEだから楽そう」「SESだから技術力がつきそう」と肩書きだけで判断せず、仕事内容を見ることが大切だと思います。

4.SIerの働き方を見て感じたこと

一緒に仕事をして感じた役割

私はSIerに所属した経験はありませんが、SES時代に元請けSIerの方と一緒に仕事をする機会がありました。

私が経験した現場では、NTT系やNEC、富士通などの方が元請け側として参加しており、その下に複数のチームがあるような体制でした。

一緒に仕事をして感じたのは、技術的な知識はもちろんですが、それ以上に「チームやプロジェクトをまとめる力」を求められているということです。

例えば、

・顧客からの要望を整理する
・具体的な作業内容に落とし込む
・各チームへ仕事を割り振る
・チーム間の調整をする
・進捗や課題を管理する
・必要な資料を作成する

といった仕事をしている姿をよく見ました。

私たちSES側が実際の作業を担当する一方で、元請けSIer側は「何をやるのか」を考えて、各チームが動ける状態にする役割を担っていたイメージです。

いわば、0の状態から仕事を整理して、実際に動ける1の状態にして各チームへ渡していくような仕事です。

「資料作成ばかり」は本当なのか

これは、私が一緒に仕事をした範囲では、確かに資料作成は多かったです。

ExcelやPowerPointなどを使って資料を作成している姿もよく見ました。

ただ、それを見て「資料ばかり作っているから技術力がない」と考えるのは少し違うと思っています。

元請け側になると、自分一人が内容を理解していればいいわけではありません。

顧客や複数のチームに、

「何をするのか」「なぜ必要なのか」「誰が担当するのか」

を伝え、プロジェクト全体を動かす必要があります。

そのために資料を作成したり、会議をしたり、各チームへ仕事を割り振ったりする時間が多くなります。

実際に機器を操作する時間だけを見れば、構築を担当しているSESのエンジニアの方が長いこともあると思います。

一方で元請けSIerには、技術を使って自分で作業する力とは別に、技術を理解したうえで仕事を整理し、人を動かす力が求められているように感じました。

だから私は、

「SIerは資料作成ばかり=技術力が低い」

という見方も、やはり少し違うと思っています。

5. あなたに合う働き方をチェック

Q1. 一つの分野を深く経験したい?

A:はい
→ SESのように、担当範囲が明確な環境が合うかもしれません。

B:幅広く経験したい
→ 社内SEのように、インフラ全体に関われる環境が合うかもしれません。

Q2. 同じ環境を長く担当したい?

A:いろいろな現場を経験したい
→ SESの働き方をチェック。

B:一つの環境を長く見ていきたい
→ 社内SEの働き方をチェック。

Q3. 大規模案件や上流工程にも興味がある?

A:興味がある
→ SIerの求人や仕事内容もチェック。

B:実際に機器やシステムを触る仕事がしたい
→ SES・社内SEでも、運用だけなのか、設計・構築まで担当できるのかを確認。

6. まとめ

今日覚えること

・社内SE・SES・SIerという肩書きだけで技術力は決まらない
・SESは担当する分野を深く経験できることが多い
・社内SEはインフラ全体を幅広く経験できる環境もある
・SIerは技術だけでなく、設計・調整・チームをまとめる力も求められる
・同じ職種でも会社や現場によって担当する仕事内容は大きく違う
・大切なのは「どこで働くか」より「そこで何を経験できるか」

関連記事

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

この記事を書いた人

コメント

コメントする

目次